税金の基本
フリーランス年収800万円の手取りは?会社員との差額と国民健康保険・国民年金の実額
フリーランス年収800万円の手取り実額(事業所得ベース)
フリーランスの「年収800万円」は会社員と意味が異なる点に注意が必要です。フリーランスの場合、売上ではなく事業所得=売上−必要経費−青色申告特別控除65万円が課税ベース。例えば売上1,200万円・経費335万円・青色申告控除65万円なら事業所得800万円。この事業所得800万円に対する手取りは約541万円、月額約45万円となります(東京都・40歳未満・独身・国民健康保険・国民年金加入の概算)。天引きされる約259万円の内訳は、所得税約68万円・住民税約66万円・国民健康保険約80万円・国民年金約21万円・個人事業税約10万円・消費税(2割特例適用時)約14万円で、合計の実効負担率は約32%。会社員の年収800万円(手取り約594万円)と比較すると約50万円の差があり、この差は主に国民健康保険料の負担増(会社員は労使折半だがフリーランスは全額自己負担)、個人事業税(会社員にはない地方税)、消費税(インボイス制度下で課税事業者になった場合)に集中しています。
国民健康保険と国民年金の実額(フリーランスの固定コスト)
フリーランスの社会保険料は会社員とは制度設計が大きく異なります。①国民健康保険:所得割(前年所得×料率)+均等割(一人当たり定額)+平等割(世帯当たり定額)の合計で、自治体により料率が異なる地方税です。東京都23区を例に取ると、年収800万円(事業所得ベース)のフリーランス40歳未満は年間約70〜85万円。介護保険料(40歳以上)が加わると年85〜100万円。賦課限度額は医療分65万円・後期高齢者支援金分24万円・介護分17万円で、所得が一定以上なら上限に達する。②国民年金:月額17,920円(令和7年度)×12ヶ月=年21.5万円の固定額。所得に関係なく一律で、会社員の厚生年金(給与連動・労使折半)と全く違う構造。将来の受給額(老齢基礎年金)は満額納付で年81.6万円(月6.8万円)のみで、会社員の老齢厚生年金が上乗せされない分、老後保障は手薄。③付加年金(月400円追加で受給額アップ)・国民年金基金・iDeCo(月6.8万円・年81.6万円が全額所得控除)で自助の上乗せが必須。
個人事業税と消費税(フリーランス特有の負担)
フリーランスが追加で負担するのが個人事業税と消費税です。①個人事業税:地方税法に基づき、業種が「法定業種」に該当する事業所得に課税。税率は業種により3〜5%。事業主控除290万円があるため、(事業所得−290万円)×税率で計算。例えば事業所得800万円・税率5%なら、(800−290)×5%=25.5万円。物販業・サービス業・コンサル業・デザイン業など多くの業種が対象。一方、芸術家・著述業(漫画家・作家・ライター)・スポーツ選手・農業などは非課税業種です。8月・11月の年2回納付。②消費税:年間売上1,000万円超の事業者は課税事業者となり、消費税の納税義務が発生。インボイス制度(2023年10月開始)により、年間売上1,000万円以下でも適格請求書発行事業者になれば取引先(買い手)が仕入税額控除を受けられるため、登録するフリーランスが増えました。納税額は本則課税(売上消費税−仕入消費税)または簡易課税(売上消費税×みなし仕入率10〜90%)または2割特例(売上消費税×20%、経過措置)から選択。年収800万円規模なら2割特例が最も有利な場合が多く、年間14〜16万円程度の納税。
会社員 vs フリーランスの手取り比較(同年収・同所得)
会社員とフリーランスの手取りを比較してみます。①同じ収入額面800万円の場合:会社員の手取り約594万円、フリーランス(経費200万・事業所得535万・青色控除65万)の手取り約430〜470万円。経費を多く計上できれば差は縮まりますが、社会保険料の差で会社員が有利。②同じ事業所得800万円の場合:上記のとおりフリーランスの手取り約541万円。会社員年収を800万円とすれば手取り594万円で、会社員が約50万円有利。③売上ベース1,200万円のフリーランス vs 年収800万円会社員:経費次第で逆転。フリーランスの強みは「経費を増やせる」「青色申告控除・小規模企業共済・iDeCoで多重に節税できる」「定年がない」「収入の天井が高い」。会社員の強みは「社会保険の労使折半(実質会社負担分が大きい)」「有給休暇・育休・退職金などの福利厚生」「収入が安定」「住宅ローン審査が通りやすい」など。どちらが有利かは状況次第。Taximoの会社員vsフリーランス比較(/calc/comparison)で、売上・経費・家族構成を入力した詳細比較ができます。
フリーランスの節税手段(会社員以上に多彩)
フリーランスは経費計上と所得控除の自由度が高く、会社員より節税手段が豊富です。①青色申告特別控除65万円:e-Taxによる電子申告+電子帳簿保存で最大控除。年収800万円・税率20%なら所得税・住民税合わせて年約20万円の節税。②小規模企業共済:月最大7万円・年最大84万円が全額所得控除。年84万円拠出で年約25万円の節税(税率20%帯)。廃業・退職時に共済金を受け取る制度で、退職金がわりに使える。③iDeCo:フリーランスは会社員の3倍の月6.8万円・年81.6万円まで拠出可能。年約24万円の節税。④経営セーフティ共済(中小機構):月最大20万円・年240万円まで必要経費化可能。取引先倒産時の貸付金として機能。40ヶ月以上加入で解約手当金全額戻り。⑤国民年金基金:iDeCoとの合計で月6.8万円まで。⑥経費の幅広い計上:家賃の事業按分(仕事部屋の面積比)、通信費・電気代の按分、書籍・セミナー代、PC・周辺機器、外注費、接待交際費。⑦ふるさと納税:事業所得800万円なら控除上限約13万円。これらを組み合わせれば年100万円以上の節税効果も現実的。Taximoの青色申告・共済シミュレーション(/calc/blue-return)で最適な拠出額を計算できます。
📚参考・出典
ご利用にあたって
本記事は2026年4月時点の公開情報をもとに執筆しています。税制は毎年改正されるため、最新の制度については国税庁や各自治体の公式情報をご確認ください。 記事内の計算結果は一般的な前提に基づく概算であり、個別の控除や特例の有無により実額と異なる場合があります。 個別の税務相談は、税理士・税務署等の専門機関にお問い合わせください。詳しくは免責事項をご覧ください。
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