🏛️ 法人化シミュレーション
「個人のまま」と「法人化」はどこで税負担が逆転するか
法人化の本質は、所得税の累進課税(最高55%)から法人税の比例税率へ切り替えることにあります。所得が低いうちは累進税率のほうが低く法人の固定コストが重荷になりますが、利益が大きくなるほど比例税率が有利に働き、ある一点で負担が逆転します。一般的に事業所得(利益)が800万〜1,000万円超でこの逆転が起きると言われます。加えて役員報酬を経費にできる、退職金で大きな所得控除が使える、社会保険の家族扶養範囲が広がる、欠損金を10年繰越控除できるといった効果も乗ってきます(出典:国税庁タックスアンサー No.5759「法人税の税率」)。
中小法人にかかる税金の内訳(資本金1億円以下)
法人化すると、利益に対して以下が積み重なって課税されます。法人税は所得階層で2段階の税率です。
| 税目 | 税率 |
|---|---|
| 法人税(所得800万円以下の部分) | 15% |
| 法人税(所得800万円超の部分) | 23.2% |
| 地方法人税(法人税額に対して) | 10.3% |
| 法人住民税(法人税額に対して)+均等割 | 約7%+7万円〜 |
| 法人事業税 | 3.5〜7.0% |
| 合計の実効税率(所得800万円以下) | 約25% |
| 合計の実効税率(800万円超の部分) | 約34% |
これらに加えて特別法人事業税が課されます。代表者個人としては、会社から支給される役員報酬に給与所得控除が使え、その上で所得税・住民税・社会保険料がかかります。
利益1,000万円のフリーランスを法人化した試算
年商1,500万円・経費500万円・利益1,000万円のケースで、個人のまま続けた場合と、役員報酬600万円・法人留保400万円として法人化した場合を比べると次のようになります。
| 区分 | 税負担の目安 |
|---|---|
| 個人事業のまま(所得税+住民税+事業税) | 約230万円 |
| 法人化・法人税分 | 約70万円 |
| 法人化・個人分(所得税+住民税+社保) | 約110万円 |
| 法人化・合計 | 約180万円 |
この例では年約50万円の差が出ますが、社会保険料・法人均等割・税理士費用などのランニングコストを差し引いた実質メリットで判断する必要があります。
法人化で陥りやすい誤解
- 「赤字なら税金ゼロ」ではない。法人住民税の均等割7万円〜は赤字でも毎年発生する固定コストです。
- 役員報酬は途中で増減できない。原則として事業年度の途中で変更できず(定期同額給与)、期首の設定額がそのまま1年続きます。
- 社会保険は強制加入。法人化すると役員1人でも加入義務が生じ、個人事業時代の国民健康保険・国民年金とは負担構造が変わります。
- 利益が小さいうちは逆効果。固定コストと実効税率の関係から、利益が800万円に届かない段階では個人のままのほうが有利なことが多いです。
2025-2026年の改正点・注意事項
資本金1億円超の大法人を中心に「外形標準課税」の見直しが進行中です。法人化のメリットは、継続的に利益が出る・所得分散できる・小規模企業共済等の節税策を組み合わせる場合に大きくなります。本ツールは標準的な税率での概算で、特定事業の優遇税制・所得拡大促進税制などは反映していません。
よくある質問
法人税率は所得800万円以下15%・超過部分23.2%と所得税最高45%より低く、高所得者ほど法人化メリットが大きくなります。役員報酬で給与所得控除が使え、家族役員への報酬・退職金、消費税2年免税、社会保険の充実、欠損金10年繰越などのメリットがあります。
一般的に事業所得が500〜700万円を超えると法人化のメリットが出始めます。所得800万円以上で明確に有利と言われます。ただし社会保険料の強制加入(事業主負担増)、設立費用約30万円、税理士費用年30〜50万円、赤字でも法人住民税均等割7万円なども考慮が必要です。
法人税・地方法人税・法人事業税・法人住民税を合計した実効税率は、中小法人(資本金1億円以下)で所得800万円以下:約21〜23%、800万円超:約33〜35%です。大法人は約30〜33%。所得税率45%+住民税10%+社保料の個人事業に比べ、高所得者には明らかに有利です。
原則として事業年度開始から3か月以内に決定し、その期間中は同額を支給する必要があります(定期同額給与)。期中の変更は原則として損金不算入。事前確定届出給与(賞与)を税務署に届け出れば、特定の時期に賞与を出すこともできます。
個人事業と別に資産管理法人等を設立し、社会保険を法人側で最低額に抑え、所得を分散する手法です。社会保険料の節約効果が大きい一方、税務上のリスク(実質一体性の認定)や事務負担増もあるため、専門家のアドバイスを受けた上で慎重に判断すべきです。
株式会社は登録免許税15万円+定款認証5万円+実費約2〜3万円=合計約25万円。合同会社は登録免許税6万円+実費約4万円=合計約10万円。電子定款利用で印紙税4万円が不要になります。設立後の税理士報酬は年30〜80万円が目安です。
社会保険料の事業主負担(給与の約15%)、赤字でも法人住民税均等割7万円〜、税務調査リスク、決算書の公示義務(特例なし)、廃業時の手続き複雑化、事務負担増(複式簿記・税務申告)などがあります。所得規模・将来計画を踏まえた判断が必要です。
※ 本計算は概算です。実際の税額とは異なる場合があります。法人化の判断は税理士にご相談ください。