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🛡️ 社会保険のしくみ

社会保険とは(5つの公的保険の総称)

広義の社会保険は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険の5つの公的保険の総称です。会社員(週20時間以上勤務など要件を満たす者)は原則として加入が義務付けられ、保険料は給与から天引きされます(特別徴収)。健康保険と厚生年金は労使折半(本人と会社で半額ずつ負担)、雇用保険は事業者がより多く負担、労災保険は全額会社負担です。フリーランス・自営業者は国民健康保険+国民年金となり、原則として全額自己負担です。

健康保険(医療費の3割負担に抑える制度)

業務外の病気・けがの医療費の自己負担を3割に抑える制度です。保険料率は協会けんぽの場合、都道府県別に9.27〜10.51%(東京都は9.98%、令和7年度)で、労使折半(本人負担はその半額)。扶養家族(年収130万円以下)は追加保険料なしで加入可能。健康保険組合(大企業)の場合は組合独自の料率と給付があり、協会けんぽより本人負担率が低い場合もあります。最新の保険料率は全国健康保険協会の公式サイトで確認できます。

厚生年金(老後の主要収入源)

厚生年金は会社員・公務員が加入する年金で、保険料率は18.3%固定(2017年9月以降)。労使折半で本人負担9.15%です。標準報酬月額(給与の段階区分)に応じて保険料が決まり、将来の老齢厚生年金の受給額に反映されます。標準報酬月額の上限は65万円(月給65万円超でも保険料は上限固定)、下限は8.8万円。賞与にも別途、標準賞与額×18.3%が課されますが、1回あたり150万円が上限。受給開始は原則65歳ですが、60〜75歳の範囲で繰上げ・繰下げ可能で、繰下げ75歳で受給額84%増。

雇用保険・介護保険

【雇用保険】失業時の給付(基本手当・教育訓練給付・育児休業給付など)を支える保険。一般の事業では労働者負担0.6%+会社負担0.95%=合計1.55%(令和6年度)。建設・農林水産業は若干高め。【介護保険】40歳から64歳までの被保険者が負担。健康保険料に上乗せして徴収され、料率は1.6%前後(協会けんぽ全国一律)。65歳以降は市区町村から直接徴収。【労災保険】業務上のケガ・病気を補償する保険で、保険料は全額会社負担(業種により0.25〜8.8%)。

計算例(年収500万円・月給35万円・賞与80万円のケース)

標準報酬月額35万円(22等級)の会社員の月額社会保険料を試算(東京都・40歳未満・協会けんぽ)。健康保険料:35万×9.98%÷2=約17,500円(本人負担)。厚生年金保険料:35万×18.3%÷2=約32,000円(本人負担)。雇用保険料:35万×0.6%=約2,100円。月額合計約51,600円。賞与80万円から:健康保険80万×9.98%÷2=約40,000円、厚生年金80万×18.3%÷2=約73,200円、雇用保険80万×0.6%=約4,800円、賞与時合計約118,000円。年間社会保険料総額約75万円。Taximoの社会保険計算(/calc/social-insurance)で詳細を試算できます。

標準報酬月額の決まり方(4〜6月の残業に注意)

健康保険・厚生年金の保険料は毎月の給与そのものではなく、給与を等級に区切った「標準報酬月額」で決まります。毎年7月に、4月・5月・6月に支払われた給与の平均額から等級を決め直し、その等級が9月から翌年8月までの1年間の保険料に適用されます(定時決定)。つまり4〜6月に残業が集中すると、その年の保険料が1年間高いままになります。逆にこの3か月だけ残業が少なければ保険料は安く済みます。ただし保険料が下がると将来の厚生年金額も下がるため、単純に得とは言えません。なお昇給・降給で固定的賃金が2等級以上変動した場合は、時期を問わず4か月目から等級が改定されます(随時改定)。転職直後は入社時の給与額で決定されます。

健康保険で受けられる現金給付

健康保険は医療費が3割負担になるだけの制度ではありません。①傷病手当金:業務外の病気やケガで連続3日休んだ後、4日目以降の休業に対して標準報酬日額の3分の2が最長1年6か月支給されます。②出産手当金:産前42日・産後56日の休業期間について同じく3分の2。③出産育児一時金:子ども1人につき50万円。④高額療養費:1か月の自己負担が上限額(年収約370〜770万円なら8万円台)を超えた分が払い戻され、事前に限度額適用認定証を取れば窓口負担自体が上限までになります。⑤埋葬料5万円。国民健康保険には傷病手当金・出産手当金が原則ないため、この差はフリーランスにとって大きなリスクです。

退職後の健康保険は3つの選択肢から選ぶ

退職して次の勤務先が決まっていない場合、健康保険は自分で選ぶ必要があります。①任意継続:退職前の健康保険に最長2年間継続加入。保険料は会社負担分がなくなるため全額自己負担(従来の約2倍)ですが、上限が設けられています。退職日の翌日から20日以内の申請が必須で、1日でも遅れると選べません。②国民健康保険:市区町村に加入。保険料は前年所得で決まるため、退職1年目は高額になりがちです。ただし失業理由によっては前年給与所得を30%とみなす軽減制度があります。③家族の被扶養者になる:年収見込み130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)などの条件を満たせば保険料ゼロ。最も有利なので、まずこれが使えるか確認するのが定石です。①と②は保険料を試算して安いほうを選びます。

被扶養者に入れる条件

健康保険の被扶養者になると保険料の負担なしで保険証が交付されます。条件は、①被保険者に生計を維持されていること、②年収130万円未満(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する場合は180万円未満)、③同居の場合は被保険者の年収の2分の1未満(別居の場合は仕送り額未満)。ここでの「年収」は過去の実績ではなく今後1年間の見込みで判定するため、月収が108,334円(130万円÷12)を継続的に超えた時点で扶養から外れます。通勤手当や失業給付も収入に含まれる点が見落とされがちです。国民年金の第3号被保険者(保険料負担なしで年金加入期間が増える)も原則この判定に連動するため、130万円のラインは健康保険と年金の両方に効きます。

適用拡大と「年収の壁」への支援策

①社会保険の適用拡大:2024年10月から従業員51人以上の企業で、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の勤務見込み・学生でない、の要件を全て満たすパート・アルバイトが加入対象になりました。②106万円の壁・130万円の壁:前者は勤務先の規模要件による加入、後者は企業規模を問わない配偶者の扶養からの離脱ラインです。③年収の壁・支援強化パッケージ:壁を超えて手取りが減る事態を避けるため、企業がパート従業員の手取り減を補填した場合の助成金や、一時的に130万円を超えても事業主の証明があれば連続2年まで扶養にとどまれる措置が設けられています。なお2025年以降の改正で所得税の壁は178万円に上がりましたが、社会保険の106万円・130万円は変わっていないため、現在は社会保険の壁のほうが手取りへの影響が大きくなっています。

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この計算の根拠・出典

保険料率は協会けんぽ東京支部・令和8年度の値を基準に記載しています。健康保険料率は都道府県ごとに異なり、健康保険組合の場合は組合独自の料率が適用されます。

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