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🧾 所得税のしくみ

所得税とは(国税庁タックスアンサーNo.2260)

所得税は、個人の所得(収入から必要経費・控除を差し引いた金額)に対してかかる国税で、所得税法に基づき毎年1月1日〜12月31日の所得を対象に課税されます。会社員の場合は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で精算。自営業者・フリーランスは翌年2月16日〜3月15日の確定申告で精算します。所得税は10種類の所得区分(給与・事業・配当・利子・不動産・退職・山林・譲渡・一時・雑)に分かれ、それぞれの計算ルールが異なります。

計算の流れ(5ステップ)

①収入から給与所得控除(自営業は必要経費)を引いて所得を計算。②所得から所得控除(基礎控除・扶養控除・社会保険料控除など)を引いて課税所得を算出。③課税所得に税率(5〜45%)を適用。④税額から税額控除(住宅ローン控除・寄付金特別控除など)を引く。⑤さらに復興特別所得税(所得税額×2.1%、2037年まで)を加算して最終税額。会社員はこのフローを年末調整で勤務先が自動的に計算してくれます。

税率(超過累進税率の7段階)

課税所得195万円以下:5%、330万円以下:10%、695万円以下:20%、900万円以下:23%、1,800万円以下:33%、4,000万円以下:40%、4,000万円超:45%。所得が増えるほど税率が段階的に上がる累進課税方式です。「課税所得500万円なら一律20%」ではなく、「195万円までは5%、195万〜330万円までは10%、330万〜500万円は20%」と段階別に計算する点に注意。実効税率(合計税額÷課税所得)は、最高税率より低くなります。

主な所得控除(14種類のうち主要なもの)

基礎控除(令和8年分は合計所得489万円以下で104万円。所得が上がるほど段階的に下がり、2,500万円超でゼロ)、給与所得控除(年収に応じて74万〜195万円)、配偶者控除(最大38万円)、扶養控除(38万〜63万円)、社会保険料控除(全額)、生命保険料控除(最大12万円)、医療費控除(10万円超分)、寄付金控除(ふるさと納税)、小規模企業共済等掛金控除(iDeCo全額)、雑損控除(災害・盗難)、地震保険料控除(最大5万円)、寡婦控除・ひとり親控除(38万円)など。年収500万円・独身なら給与所得控除144万円+基礎控除104万円+社会保険料約75万円=合計約323万円の控除が標準的です。

令和8年分から基礎控除・給与所得控除が大きく上がった

令和7年度・令和8年度と2年続けて減税方向の改正が行われ、令和8年分の所得税は以前より大きく軽くなっています。①基礎控除:所得税法本体の額が48万円→58万円→62万円と引き上げられ、さらに合計所得655万円以下の人には租税特別措置法による加算が乗ります。その結果、合計所得489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下なら62万円。②給与所得控除:最低保障額が55万円→65万円→74万円に引き上げられ、給与収入220万円までは一律74万円が控除されます。③この2つを合わせると、給与収入178万円までは所得税がかからない計算になり、従来の「103万円の壁」は「178万円の壁」に移動しました。なお加算措置は令和8年・9年分の時限措置で、令和10年分以降は縮小される予定です。

計算例(年収500万円・独身のケース)

年収500万円の会社員(独身・扶養なし)の所得税を令和8年分のルールで計算します。①給与所得控除=500万×20%+44万=144万円。②給与所得=500万−144万=356万円。③合計所得356万円は489万円以下なので基礎控除は104万円。④課税所得=356万−104万−75万(社会保険料控除)=177万円。⑤税額=177万×5%=88,500円(課税所得195万円以下は税率5%)。⑥復興特別所得税=88,500×2.1%=1,858円。⑦合計年税額は約9万円・月約7,500円です。改正前(基礎控除48万円)なら課税所得233万円・年税額約13.8万円だったので、同じ年収でも年4万円以上軽くなっています。住民税は別途年約24万円かかります。Taximoの所得税計算(/calc/income-tax)で家族構成や各種控除を反映した金額を試算できます。

源泉徴収と年末調整の関係

会社員の場合、毎月の給与から天引きされる所得税は「源泉徴収税額表」に基づく概算にすぎません。扶養親族の増減、生命保険料控除、iDeCoの掛金などは毎月の計算に反映されていないため、多くの人は払いすぎの状態になります。この差を12月の年末調整で精算するため、12月の給与で還付が発生するわけです。逆に、年の途中で扶養家族が減った場合などは追加徴収になることもあります。なお令和8年分については、基礎控除引き上げの施行が令和8年12月1日のため、11月までの毎月の天引き額は改正前の税額表で計算され、12月の年末調整でまとめて精算される点に注意してください。年の途中で退職して再就職しなかった場合は年末調整が行われないので、確定申告をしないと払いすぎた所得税が戻りません。

総合課税と分離課税(所得の種類で計算が変わる)

所得税は10種類の所得区分ごとに計算方法が異なります。給与・事業・不動産・雑・一時所得などは合算して累進税率をかける「総合課税」。一方、退職所得・山林所得・株式や不動産の譲渡所得・FXなどは他の所得と合算せず個別の税率で計算する「分離課税」です。たとえば上場株式の譲渡益・配当は所得税15.315%+住民税5%の合計20.315%で固定され、給与がいくら高くても税率は変わりません。この違いを知らずに「副業の利益に45%かかる」と誤解するケースが多いので注意が必要です。副業が事業所得か雑所得かでも、損益通算の可否や青色申告特別控除の適用が変わります。

所得控除と税額控除はどちらが有利か

所得控除は「課税所得を減らす」もので、節税額は控除額×税率になります。税率5%の人が10万円の所得控除を受けても税金は5,000円しか減りません。対して税額控除は「計算した税額から直接引く」ため、10万円の税額控除は所得に関係なく10万円まるごと税金が減ります。代表的な税額控除は住宅ローン控除(年末残高×0.7%)、配当控除、外国税額控除、寄付金特別控除(政党等・認定NPO)。住宅ローン控除が「最強の節税」と言われるのはこの構造によるものです。ふるさと納税は所得税側は所得控除、住民税側は税額控除という組み合わせになっています。

確定申告で所得税が戻る主なケース

年末調整だけでは適用できず、確定申告が必要な控除があります。①医療費控除:年10万円(総所得200万円未満なら総所得の5%)を超えた分。家族分を合算でき、市販薬のみの人はセルフメディケーション税制(1.2万円超)も選べます。②住宅ローン控除の初年度。③ふるさと納税で6自治体以上に寄付した場合、またはワンストップ特例を出し忘れた場合。④年の途中で退職して再就職していない場合。⑤株式の譲渡損失を翌年以降3年間繰り越したい場合。⑥災害・盗難による雑損控除。還付申告は翌年1月1日から5年間さかのぼって提出できるため、過去に申告し忘れた分も今から請求できます。

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この計算の根拠・出典

令和8年分の所得税(令和8年度税制改正後)に基づいて記載しています。基礎控除は所得税法86条の62万円に租税特別措置法41条の16の2による加算を加えた額で、加算は居住者のみ・令和8年および9年分の措置です。

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